幼い頃に見たSF映画やアニメの世界で、空を自由に飛び回る車が登場するシーンにワクワクした覚えはありませんか。そんな夢のような乗り物が、今、現実のものになろうとしています。世界各国で開発が進む空飛ぶクルマは、交通渋滞の解消や離島への移動手段として大きな期待を集めています。私たちの生活にどのように関わってくるのか、そしていつ頃実際に乗れるようになるのか、最新の動向を探ってみましょう。
空飛ぶクルマとはどのような乗り物か
空飛ぶクルマという言葉からは、現在の自動車に羽が生えたような姿を想像するかもしれませんが、実際に開発が進んでいるものの多くは、電動垂直離着陸機(eVTOL)と呼ばれる全く新しいタイプの乗り物です。これは、ヘリコプターのように垂直に飛び立ち、目的地まで上空を飛行して、そのまま垂直に着陸できるのが特徴です。滑走路が不要なため、都市部のビルの屋上や小さなスペースでも離着陸が可能です。
ヘリコプターとの大きな違いは、動力源が電気であることです。複数のプロペラをモーターで回すため、部品数が少なく整備がしやすい上に、飛行時の騒音が劇的に小さいというメリットがあります。また、排気ガスを出さないため環境に優しく、将来的には自動運転による運航も視野に入れられています。つまり、空飛ぶクルマは、自動車の手軽さと航空機の速さを併せ持った、次世代の身近な移動手段として位置づけられています。
実現に向けた課題と現在の取り組み
技術的には完成に近づきつつある空飛ぶクルマですが、私たちが日常的に利用できるようになるためには、クリアすべき課題がいくつかあります。まずは機体の安全性です。万が一の故障や悪天候時でも安全に飛行できることが、航空機並みの厳しい基準で証明されなければなりません。また、静かであるとはいえ、多数の機体が飛び交うようになれば、騒音問題やプライバシーへの配慮も必要になってきます。
さらに、新しい交通ルール作りも不可欠です。空の上を安全に行き交うための管制システムや、離着陸場となるポートの整備、そして万が一の事故に備えた法整備などが進められています。現在、世界中で数多くのスタートアップ企業や大手航空機メーカー、自動車メーカーが開発を競っており、日本でも国と民間企業が協力して、官民協議会を立ち上げ、実現に向けたロードマップを作成しています。試験飛行も頻繁に行われるようになっており、一歩ずつ実用化へ近づいています。
私たちの生活に普及するこれからのスケジュール
それでは、実際に私たちが空飛ぶクルマに乗れるのはいつ頃になるのでしょうか。日本国内における大きな節目として注目されているのが、2025年の大阪・関西万博です。この万博では、会場内外を結ぶ移動手段として、空飛ぶクルマの商用運航を目指しており、複数の企業が運航事業者として選定されています。まずはこの万博が、多くの人が空飛ぶクルマを目の当たりにする最初の機会となるでしょう。
万博以降、2030年代に向けては、段階的にサービスが拡大していく見込みです。初期の段階では、空港から都心部への送迎や、離島、山間部への移動、観光地での遊覧飛行といった特定のルートでの利用から始まると考えられます。料金も当初は高額になる可能性がありますが、普及が進み、将来的に自動運転が実現すれば、現在のタクシーと同じくらいの感覚で利用できる手軽な移動手段になることが期待されています。夢の乗り物が日常の風景になる日は、意外とすぐそこまで来ているのかもしれません。

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